シングルマザー看護師にとって、仕事と子育ての両立は大きな課題です。
そこで高齢化社会が進む中、療養型病棟の役割や看護師の仕事内容への注目が高まっています。
療養型病棟で働く看護師の仕事は、急性期病棟とは異なり患者さんとのじっくりとした関りが特徴であり、残業も少なくシングルマザー看護師でも負担なく働けるところが大きな魅力です。
このブログでは、療養型病棟で働く看護師のお仕事内容や注意すべきポイントなども含めてお伝えします。
シングルマザーの身で急性期病棟のお仕事がキツイと感じてる方、働きやすい職場を探している方必見の内容となっていますので最後まで読んで参考にしていただければ幸いです。
療養型病棟とは

急性期の治療を終えた患者さんが、継続的な医療処置や介護を受けながら療養するための病棟を指します。
また、終末期の患者さんも多く人生の最後を出来るだけ穏やかに安定した入院生活が送れるように支援していく場でもあります。
療養型病棟で入院している患者さんの特徴
- 病状は安定しているが、自宅での生活が困難な方。
- 長期的な医療ケアや介護を必要とする方。
- 社会的な入院を必要とする方。
- 看取りの方。
提供されるサービス
- 医療行為が少なく、生活支援や介護が中心。
- 点滴・経管栄養・褥瘡ケアなどの慢性的な医療処置。
- リハビリテーションや精神的サポート。
病棟の役割
- 長期療養を支援する環境の提供。
- 家族の介護負担軽減。
- 自宅や施設への移行準備のサポート。
スタッフ構成
- 看護師・介護士・リハビリスタッフが中心。
- 医師の介入頻度は少なく、看護師や介護士の役割が大きい。
- 特に介護度の重い方が多いため介護士の役割は重要。
患者さんの入院期間
療養病棟の患者さんは、医療区分に従って入院期間が設けられているため数か月から1年ぐらいとされている。
実際の入院期間は病院によっても違いはあるが、3年~10年と長期入院の方も多く入院されているのが現状。
在宅介護を受けている方の家族の休息を目的としたレスパイト入院(1週間~2週間)を受け入れることがあります。
レスパイトとは、『休息』『生き抜き』という意味になります。
療養型病棟と他の病棟の違い

- 急性期病棟が治療をメインとしているのに対し、療養型病棟は生活支援やケアがメイン。
- 回復期リハビリ病棟がリハビリに重点を置くのに対し、療養型病棟は病状が安定した患者さんの生活支援が目的。
療養型病棟で働く看護師の役割

療養型病棟は、患者さんが穏やかで安定した生活を送れるよう支援する大切な役割を担っており、看護師として患者さん一人ひとりに寄り添う姿勢が求められます。
医療行為は少ないが、介護度が多くオムツ交換や入浴介助、車椅子移乗介助など体力を要するケアを必要とし、また高齢者看護や終末期ケアのスキルも重要となります。
療養型病棟で働く看護師の仕事のながれ
日勤
- 8:00出勤
情報収集、内服薬・点滴の準備
夜勤者からの申し送り - 9:00オムツ交換
褥瘡処置、創処置
入浴日は入浴介助、ベッドメイキング - 10:00バイタル測定
点滴実施、吸引、チューブ交換など
- 10:45経管栄養の準備
- 11:00経管栄養実施
- 11:30昼食の準備
配薬、スタッフ交代で休憩
- 12:00昼食介助
- 12:45食後の口腔ケア・トイレ誘導
- 13:30カンファレンス
- 14:00記録
臨検・処置
- 15:00オムツ交換
- 15:45経管栄養の準備
- 16:00経験栄養実施
夜勤者へ申し送り - 17:00業務終了
夜勤
- 16:30情報収集
日勤者からの申し送り
- 17:00内服薬、点滴の確認
- 18:00夕食の準備・介助
- 18:45食後の口腔ケア・トイレ誘導
- 19:00バイタル測定
- 19:30スタッフ交代で休憩
- 20:00体位変換・点滴・眠前薬投与
- 21:00消灯
- 22:00巡診・記録
- 23:00オムツ交換・体位変換
- 24:00スタッフ交代で休憩
- 3:00吸引・オムツ交換
- 5:00経管栄養準備・実施
- 6:00バイタル測定
- 7:00朝食の準備
- 8:00配薬・食事介助
- 8:45日勤者へ申し送り
- 9:00業務終了
シングルマザー看護師が療養型病棟で働くメリット

仕事のペースが比較的穏やか
- 急性期病棟のようにスピード感は求められないため、自分のペースで働ける環境が整っています。
- 精神的な負担が軽減され、ワークライフバランスを保ちやすい傾向があります。
残業が少ない
- スタッフの人数にもよるが療養型病棟では、急性期と比べて患者さんの状態が安定しているため、緊急対応が少なく定時で仕事を終わらせることができます。
- シングルマザーにとって、子育てと仕事を両立させやすい職場といえます。
精神的な負担が軽減される
- 突発的な事態や急変などの対応が少ないため、精神的な負担が軽くなる傾向があります。
- 落ち着いた環境で働きたい看護師には適した職場です。
高齢者看護の知識、スキルを高められる
- 高齢の患者さんが多いため、認知症ケアや慢性疾患の管理といった専門的な知識、スキルを深めることができます。
これらのメリットを踏まえると、療養型病棟は落ち着いた環境で働きたい方や、患者さん一人ひとりに寄り添った看護を重視したい方にとって魅力的な職場といえます。
シングルマザー看護師が療養型病棟で働くデメリット
業務が単調になりやすい
- 患者さんの状態が安定しているため、毎日の仕事がルーチン化しやすい。
- 刺激が少ないと感じる人にとって、物足りなさを感じることがあります。
医療技術の維持・向上が難しい
- 療養型病棟では、高度な医療処置や急性期対応を求められることが少ないため、医療技術や知識が停滞してしまうリスクがあります。
- キャリアアップやスキル維持を重視する人には、物足りないと感じることがあります。
介護業務が多い
- 医療行為よりも、オムツ交換や入浴介助などの身体介助が多く、体力的に負担が大きくなる可能性があります。
- 特に人手不足の病棟では、一人当たりの介助負担が大きくなる可能性があります。
認知症患者さんの対応を求められる
- 認知症患者さんが多く入院しているため、コミュニケーションやケアに工夫が必要な場合があり、精神的に疲れることがあります。
- 認知症ケアの経験が浅い方は戸惑いやストレスを感じることがあります。
職場のマンネリ化
- 同じ患者さんと長期間関わるため、スタッフ間や患者さんとの関係が固定化し、職場の雰囲気が停滞することがあります。
- 新しい刺激や環境の変化を求める人には合わないかもしれません。
人手不足が深刻な場合がある
- 療養型病棟では介護士の人手不足が問題となることが多く、看護師の一人ひとりの負担が増えることがあります。
- 人員配置が厳しい場合、身体的・精神的に疲労しやすい環境になります。
療養型病棟は、落ち着いて働けるという特徴がある反面、医療行為の少なさや単調さが気になることもあります。自身のキャリアの方向性や働き方の希望を考慮しつつ、デメリットを理解して選択すると良いでしょう。
療養型病棟に転職する上で注意してもらいたいこと

シフトの柔軟性
子供の体調不良や学校行事に対応できる職場が良いです。家庭の事情に理解がある職場を選びましょう。夜勤が出来ない方は、夜勤免除が可能か確認しましょう。
育児サポートの有無
施設によっては、託児所が併設されていたり育児支援制度が整っている場合があります。これがあると一層安心して働くことができます。
業務内容と残業の確認
療養型病棟は急性期に比べて業務の緊急性が低い傾向がありますが、病院によっては医療度が高かったりカンファレンスや勉強会が多かったりと忙しいところもあるので注意が必要です。
職場の雰囲気と人間関係
職場の人間関係は、働いてみないと分からないことも多いですが、雰囲気を感じとることは重要なポイントになります。面接日に職場見学はしっかり行いましょう。
古い療養型病棟の特徴として、年配のお局さんが仕切っている場合があります。必ずとは限りませんがそのような雰囲気を感じとることも大切です。
あるいは、緊張感に欠け無駄話が多い職場だとそのスタッフの輪に馴染むのに時間が掛かることもあるかもしれません。
紹介業者を介しての場合は、転職アドバイザーに内部事情を確認してもらうこともできます。
療養型病棟看護師に向いている人

患者さんとじっくり向き合いたい人
- 長期入院患者さんと関わるため、一人ひとりの生活背景を理解し継続的なケアを続けられる人。
- コミュニケーションを通じて患者さんと家族と信頼関係を築ける人。
穏やかで忍耐強い人
- 患者さんの状態が大きく変わらない中で、粘り強くケアを続けることができる人。
- 特に認知症患者さんが多い環境では、冷静に対応し、忍耐強くサポートできる性格が求められる。
体力に自信がある人
- 療養型病棟では、身体介助(オムツ交換や移乗など)が多いので、体力に自信があり介助業務をいとわない人が向いています。
※週に2~3回入浴日がありますが、療養型病棟に入院されている患者さんの特徴でもある強度の拘縮・認知症の方などの入浴介助は大変な労力を伴います。 - チームで協力しながら肉体的な負担を乗り越えることができる人。
医療行為よりケアに重きを置きたい人
- 医療技術を磨くことより患者さんの生活の質(QOL)を向上させることに喜びを感じる人。
- 患者さんの「その人らしい」生活を支えることに価値を見出せる人。
安定した環境を好む人
- ゆったりとした環境で働きたい、または急性期のハードさが合わなかったという人。
- マイペースで働く方が自分に合っていると感じる人。
細やかな気配りができる人
- 患者さんの小さな体調の変化や、気持ちの変化に気づき適切に対応できる観察力と配慮がある人。
- 生活全般をサポートする看護が多いため、細やかな配慮が必要。
ワークライフバランスを重視する人
- 子育て中や介護中など、家庭との両立を考えている人。
- 療養型病棟では比較的残業が少なく、夜勤も急性期病棟ほどハードではないです。
高齢者看護に関心がある人
- 療養型病棟では、高齢患者が多いため認知症や慢性疾患のケアに興味がある人や、高齢者と接することが得意な人が向いています。
- 高齢者のケアや終末期看護に使命感ややりがいを感じられる人。
まとめ

療養型病棟は、シングルマザー看護師が安心して働ける環境が整っています。患者さんの状態が比較的安定していr養型病棟は、シングルマザー看護師が安心して働ける環境が整っています。患者さんの状態が比較的安定しているため、残業が少なく家庭との両立がしやすいのが大きな魅力でもあります。
さらに、認知症ケアや高齢者看護のスキルが身に付き、今後のキャリアにも活かせる可能性があります。
特に家庭での役割を大切にしたいシングルマザーにとって、安定した収入と働きやすい環境が整った療養型病棟は理想的な選択肢といえるでしょう。